A.大阪の会社でエンジニアとして働いていた先代がエポキシ樹脂に目をつけて創業しました。当時エポキシは新素材で今後の応用が非常に有望とされていたので、この素材を様々な用途に使えるようにと開発をしたのが起業のきっかけです。株式会社寺田は、いわゆるオーナー企業であり、先代も非常に独占的でした（笑）が、とても運が強い人だったのかなと…。設立当初は、NTT（旧電電公社1985年に民営化）と取引を始め、電線のケーブルのジョイント樹脂を扱い、日本全国に商売が広がったのが草創期の会社発展の歴史です。

A.戦後のどさくさの中、社員の10人位を引き連れ、製品の樹脂を手作業で混ぜたり、ガスで炙ったりしたものを、リヤカーに載せ南砂（江東区）の工場まで永代橋の急な坂を越え500kg以上のものを納入した話を聞いたことがあります。私が入社したころを振り返ると、23歳と65歳でジェネレーションギャップがあったという事も有り、会社の事を何も知らなかった為、毎日怒られながらの勉強の日々でした。

A.最初は入社する気は正直全くありませんでした（笑）。早稲田大学で経営工学を学んでいた私は、実は投資銀行で働きたいなと考えていました。最近も就職環境が売り手市場となっていますが、私が就職する時代も景気が良く、1人に20社程度の内定が普通だった時代です。ただ先代も体が丈夫ではなく、高齢であったということと、大学4年生のある日、先代から一緒に手伝ってほしいという主旨の話があり、いろいろ悩みましたがやるしかないと入社を決意しました。

A.入社してすぐに社長付室長となり、鞄持ちから始まり出張はもちろん、ゴルフに付き添い、現場における経営学を叩き込まれました。社長と社員のパイプ役となり、社長の意向をいかにうまく伝えるかに心を砕きました。率直にいって、自分の独創的な意見を出す事はなかなか出来ませんでした。
その後常務を経験し、10年後に副社長となりましたが、3ヶ月で常務に降格されました（笑）。ある仕事の件で、直言した事が原因と思われますが、今となっては若気の至りだと感じています。土日に呼び出される事も度々有り、徹底的に経営学を仕込まれました。

A.工業材料を中心に技術開発し、社会に貢献する事が私の原動力になっています。株式会社寺田の技術は、一般の皆さんには分かりにくく、目に触れることは少ない半面、「そんなものにも使われているの？」とおそらくビックリされるくらい馴染みのある製品にたくさん使われています。また、一緒に働いている仲間（社員）の成長していく姿を見る事がとても嬉しいです。今日も元気に頑張ろう！という気持ちになります。

A.会社には人・物・金と言われますが、人材の育成が本当に難しいと感じます。人材を獲得し、育てるには10年かかります。社長になり20年近く経ちますが、ようやく人材が揃い、売上も向上し、安定し始めました。会社を経営していく上では、様々な問題があっても自暴自棄を起こしてはいけません。冷静さが大切と思います。

A.なんと言っても、良い人材を獲得出来た時。自分と違う能力を持った人材に出会った時、嬉しいと感じます。また、自分達が苦労して、企画し、開発してきた製品が世に出る時はまさに感無量。ものづくりに携わる者として大変な感動を覚えます。

A.坂本竜馬。大胆さ、自分で意思を出している様で出さない所。改革力、調整力、事業を興す能力はすごいなと。また、上杉鷹山もとても尊敬しています。コツコツ自分のポリシーを貫き、最終的には大きな姿にする忍耐力というかそのヴィジョンの実現力のようなものに感銘を受けます。

A.原点である家族。子供たちも、社会人・大学生になりました。これからどうなっていくか本当に楽しみです。

A.コロナ禍が始まって1年強が経過し、社会情勢・経済環境は大変厳しい状況です。働き方の見直し、事業領域の拡大・変更が今後発展する鍵になると考えています。2020年からはITを駆使した働き方の変革をスタートしています。数年前から種まきしてきた新事業も立ち上がりつつあります。地球・社会の今と未来に貢献し、その活動が社員の皆さんが誇りに思えるような会社にして行きたいと考えています。

A.これからどんどん新しい事業を立ち上げて行き、事業別にユニークなビジネスを考えているので、明るい希望と旺盛なチャレンジ精神を持って来て欲しいです。これまでの技術や資産を大切に守りながらも、「ものづくり」への積極的な投資行為は続けていきますし、寺田の開発力を積極的に世界に発信していきたいです。